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投稿日:2022.07.04
更新日:2024.07.30
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天然酵母パンの種類はどれくらい?自家製・市販別に特徴を解説します

レーズン種

「パン作りに使う天然酵母に、どんな種類があるの?」

「天然酵母のパンを作りたいけど、どの酵母がよいのかわからない」

天然酵母でのパン作りに興味がある方は、このような疑問や悩みをもつことも少なくありません。種類豊富な天然酵母の中から、どれかひとつを選ぶのは難しいですよね。

この記事では、天然酵母の種類や種類毎の特徴や使い方、天然酵母が合うパンについて解説していきます。どんな酵母なのかがわかれば、自分の好みに合う天然酵母を選びやすくなりますよ。

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天然酵母の種類

天然酵母

天然酵母はさまざまな種類がありますが、大きく『自家製タイプ・ドライタイプ』の2タイプに分けられます。

①自家製タイプ

果物や穀物といった酵母が付着しているものを水につけ、酵母を増殖させた液種自家製タイプの天然酵母です。

口の広い容器に果物などを入れ、水を加えてフタをし、数日かけて作っていきます。液種と小麦粉などを混ぜて発酵させたものが元種で、これをパン作りに使います。

自家製酵母は状態の見極めや温度管理といった難しさがあるので、初心者は大変かもしれません。原料によって風味が違い、さまざまな香りや味わいのパンを楽しめるでしょう。

②ドライタイプ

天然酵母を乾燥させて粉末・顆粒状(かりゅうじょう)にしたものが、ドライタイプの天然酵母です。一般的なドライタイプの天然酵母は、倍量のぬるま湯に溶かして24時間ほど発酵させて生種を作り、それをパン作りに使います。

ぬるま湯は30℃程度、発酵時の温度は28~30℃程度をキープと、ドライタイプも温度管理が大切です。インスタントドライイーストより手間も時間もかかりますが、自家製酵母と比べると簡単に使えます。

ちなみに、同じドライタイプの天然酵母でも、香りや食感、発酵力や使い方など商品によって違います

自家製タイプの5つの天然酵母の種類

果実種

自然界にある菌を培養して作る自家製タイプの天然酵母は、さまざまな素材で作れます。

原料によって分けられる代表的な5つの種類を紹介します。

①果実種

果実種は、生の果物やドライフルーツに糖分と水を加えて作った酵母です。果物の果皮についている酵母を利用するもので、果実の風味を感じられます。

代表的なのはレーズン種で、自家製タイプとしては比較的発酵力の強い酵母です。どんなパンにも合いますが、とくにドライフルーツを混ぜ込むパンとは相性抜群。比較的作りやすくて失敗しにくいので、初心者におすすめの種といえます。

レーズン以外でも、【りんご・いちご・桃・柿】など、いろいろな果物で作れます。生の果物は、旬のものを使うと風味も豊かです。ドライフルーツは、年間通して安定して入手できるので便利に使えます。

②ヨーグルト種

ヨーグルト種は、ヨーグルトに糖分と水を加えて液種を作る方法と、最初から小麦粉も加えて発酵種を作る2種類の方法があります。

酸性食品のヨーグルトは酵母と乳酸菌が増殖しやすく、ほかの雑菌が増えるのを抑制します。発酵力が強く、食パンなどもふっくら焼けますし、さわやかな酸味を感じられるのでライ麦パンやパン・ド・カンパーニュなどのハード系にもおすすめです。

③サワー種

サワー種は、小麦粉やライ麦粉に水を加えて作る発酵種のこと。国によって名称や作り方が違いますが、日本ではすべてひっくるめてサワー種としています。

下記に代表的なサワー種をまとめました。

  • ドイツ:ザワータイク(ライサワー種)/ライ麦粉+水
  • フランス:ルヴァン種/小麦粉またはライ麦粉+水
  • イタリア:パネトーネ種/小麦粉+水
  • アメリカ:サンフランシスコサワー種(ホワイトサワー種)/小麦粉+水

乳酸菌を多く含み、酸味と旨味が感じられるのが特徴ですが、とくにザワータイクやサンフランシスコサワー種は強い酸味を感じます。ライ麦粉と水で作られるザワータイクは、ドイツでは主流のライ麦パンに欠かせない種といえます。

④ホップス種

ホップス種は、ビールの原料でもあるホップの煮汁に、じゃがいもやりんごを加えて培養したものです。ビールや米麹を混ぜることもあり、ビールを思わせるような軽い苦味やアルコール臭が感じられます。

ホップス種はイギリスでは古くから使われている種で、イギリスパンとも呼ばれる山形食パンやイングリッシュマフィンなどと相性がよく、シンプルなパンに向いています

⑤酒種

酒種は、生米・ご飯・麹・水を原料として作る、日本独自の種です。日本酒造りを参考にして作られたもので、日本酒のようなほのかな香りが感じられ、しっとりとした食感のパンに仕上がります。

酒種あんパンが有名ですが、糖度が高いパンでも発酵しやすいので、あんパン以外のさまざまな菓子パンにも適しています。

ドライタイプの7つの天然酵母の種類

ドライタイプの酵母

ドライタイプの天然酵母は、さまざまな商品が販売されています。中でも代表的な7種類の酵母を紹介します。

  1. ホシノ天然酵母
  2. あこ天然酵母
  3. とかち野酵母
  4. 有機穀物で作った天然酵母
  5. ベターホームの天然酵母
  6. パネトーネマザー酵母
  7. 白神こだま酵母

1つずつ解説していきます。

①ホシノ天然酵母

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ホシノ天然酵母は、日本に古くからある醸造技術を参考にして作られた発酵種です。米由来の野生酵母と小麦・米・麹・水といった国産の原料を使い、大切にゆっくりと育てています。

用途や酵母の違いによって、以下の6種類の商品があります。

  1. ホシノ天然酵母パン種
  2. ホシノ天然酵母フランスパン種
  3. ホシノ丹沢酵母パン種
  4. ホシノ丹沢酵母フランスパン種
  5. ホシノ小麦粉種(赤)
  6. ホシノ薔薇酵母パン種

使う際は、種起こしをします。30℃程度のぬるま湯に溶かし、28℃くらいをキープしながら24時間発酵させれば、種起こし完了。しっとりもっちりしたパンが焼けます。

②あこ天然酵母


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あこ天然酵母は、酒精酵母の一種を、カナダ・アメリカ産の最高級小麦粉、滋賀県産の低農薬米、不純物を除去した水を使って培養している酵母です。ホシノ天然酵母の創設者、星野昌氏の唯一の弟子だった近藤泰弘氏が育て上げました。

あこ天然酵母は、以下の3種類のラインナップです。

  1. あこ天然培養酵母:ストロングタイプ種
  2. あこ天然培養酵母:ライトタイプ種
  3. あこ天然培養酵母:即日活性種

あこ天然酵母の種起こしは、35℃のぬるま湯に溶かして27~32℃に置き、ストロングは24時間、ライトは30時間、即日活性種は40~60分で完了です。すっきりとした味わいの酵母なので、小麦粉の風味を生かしたパンが作れます。

③とかち野酵母

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とかち野酵母は、エゾヤマザクラのサクランボから生まれた酵母です。さまざまな花や果実を採取して酵母菌を比較した結果、無糖生地でも高糖生地でも優れた発酵力を発揮したのが、とかち野酵母でした。

とかち野酵母は2タイプあります。

  1. とかち野酵母インスタントドライイースト
  2. とかち野酵母活性ドライイースト

どちらも種起こしは不要ですが、ドライイーストタイプは予備発酵が必要、乳化剤とビタミンCが添加されているインスタントドライイーストタイプはそのまま使えます。

予備発酵は、40℃程度のぬるま湯に砂糖を溶かし、酵母を混ぜて10~15分ほど発酵させるもので種起こしよりも簡単です。

④有機穀物で作った天然酵母

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有機穀物で作った天然酵母は、ドイツの酵母と有機穀物を使った天然酵母です。添加物や化学薬品は使わず、100%オーガニックで遺伝子組み換えではない穀物を使って育てており、有機JASを取得しています。

種起こしも予備発酵も不要で、そのまま小麦粉に混ぜてパン作りができる手軽なタイプの天然酵母です。穀物のような香りの酵母で、インスタントドライイーストにくらべるとゆっくりと発酵します。

クセが少なく穀物系の香ばしさのある焼き上がりで、もちもちとした食感を楽しめます。

⑤ベターホーム(果実種)天然酵母

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ベターホームの天然酵母は、りんご・小麦粉・モルト(麦芽)を使ったフルーティな香りの天然酵母です。

酵母と植物性乳酸菌を一旦分離して培養し、再びいっしょにしてフリーズドライすることで、バランスのよい酵母になっています。

手間のかかる種起こしや予備発酵が不要で、インスタントドライイーストと同じようにそのまま使用可能。ふっくらとやわらかく、香りがよくてほんのり甘いパンに焼き上がります。

⑥パネトーネマザー酵母

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パネトーネマザー酵母は、粉末にしたパネトーネ元種にドライイーストと小麦粉を加えた、パネトーネ種の味を手軽に楽しめる酵母です。

パネトーネ種は、乳酸菌などのバランスが独特な、イタリア北部のコモ地方の伝統的な発酵種。風味のよいパンを焼けますが、とてもデリケートで扱いが難しく、日本ではほとんどが業務用として利用されています。

そんなパネトーネ種を家庭でも手軽に使えるようにしたのが、パネトーネマザー酵母です。種起こしも予備発酵も不要。ドライイーストを添加しているので扱いやすく、パネトーネ種を元種に培養しているので風味豊かなパンを作れます。甘めのパンにおすすめです。

⑦白神こだま酵母

白神こだま酵母

白神こだま酵母は、およそ500株の酵母菌から選び抜かれた一株を純粋培養した、発酵力や保存性に優れた野生酵母。自然な環境が残る世界自然遺産「白神山地」のブナ原生林で発見されました。

ドライタイプの白神こだま酵母は2タイプあります。

  1. 白神こだま酵母ドライ
  2. 白神こだま酵母ドライG

どちらも種起こし・予備発酵不要で、白神こだま酵母ドライはぬるま湯に溶かして、Gタイプはそのままで使えます。発酵時は味噌のような香りで、ほんのり甘くしっとりやわらかなパンに仕上がります。

白神こだま酵母ドライは当サイトで購入できます。

 

 

天然酵母が合うパンの種類

シンプルなパン

天然酵母は種類によって風味が違い、その独特な香りや味わいを生かしたパンを作れることが、天然酵母の魅力といえます。

酵母の風味がわかりやすいのは、少ない原材料で作るシンプルなパン。フランスパンやパン・ド・カンパーニュのようなハード系、食パン、フォカッチャなどがおすすめです。

一般的な天然酵母は糖分に対する耐性が弱く、糖分が多い菓子パンなどには向いていません。中には糖分に強い天然酵母もあるので、菓子パンなどに使う場合は耐糖性が高い種類を選びましょう。

白神こだま酵母の5つの特徴

白神こだま酵母

白神こだま酵母には、5つの優れた特徴があります。

①種起こしが不要

白神こだま酵母は、種起こしも予備発酵も不要の天然酵母です。使用する前にぬるま湯に溶かして5分程度待つだけで簡単に使えます。

事前準備に時間と手間がかかるイメージがある天然酵母ですが、白神こだま酵母なら作りたいときにすぐパン作りに取り組めます。

②発酵力が強い

白神こだま酵母は発酵力に優れています。白神山地で発見された500株ほどの酵母から勝ち残った、白神こだま酵母が生まれ持つ特性です。

人工的に発酵力を強化しているインスタントドライイーストと比較しても、引けを取らないほどの発酵力があります。天然酵母でも発酵にじっくりと時間をかける必要がないので、白神こだま酵母なら短時間でパン作りができます。

③国産小麦と相性がよい

白神こだま酵母は、国産小麦と相性がよい天然酵母です。国産小麦の弱いグルテン膜でも、ガスの発生スピードが適度にゆるやかな白神こだま酵母なら壊すことなく、しっかりとガスを包み込めます

輸入小麦とくらべて国産小麦はグルテンが少ないため、グルテン膜が弱くなります。ガスの発生スピードが速いインスタントドライイーストでは、グルテン膜が壊れてガスを包めず、ふっくらしたパンを作れません。

白神こだま酵母のゆるやかなガス発生の速度が国産小麦にマッチし、ふっくらとおいしいパンを作れるのです。

④パンがしっとり甘く焼き上がる

白神こだま酵母で作ったパンは、しっとりやわらかな食感で、ほのかな甘さを感じます。これは、白神こだま酵母がトレハロースを多く含む酵母だから。ほかの酵母とくらべて4~5倍ものトレハロースが含まれているのです。

トレハロースとは、砂糖の40%程度の甘さの天然糖質です。保水性に優れ、でんぷんの老化を抑制する働きもあるので、パンに甘みとしっとり食感をプラスし、おいしさを長く保ってくれます。

⑤冷凍耐性に優れている

白神こだま酵母は、冷凍に対する強さを持った天然酵母です。白神こだま酵母をマイナス30℃で1年間冷凍保存したところ、100%の酵母が生存していました。

この冷凍耐性はパン生地でも同様で、マイナス3~7℃で乾燥を防いで冷凍すると約2週間は保存できます

発酵力が弱い天然酵母のパン生地は、冷凍保存には向かないといわれます。しかし、発酵力に優れて冷凍耐性もある白神こだま酵母のパン生地なら、冷凍保存も可能です。

天然酵母の個性はいろいろ!お気に入りの酵母を見つけましょう

天然酵母

天然酵母は大別すると以下の2種類があります。

  1. 自家製タイプ
  2. ドライタイプ

自家製タイプの天然酵母はさまざまな素材で作れ、パンの風味も酵母の素材によっていろいろ楽しめます。初心者には難しいこともありますが、酵母を育てる楽しみや、どんなパンが焼けるのかという楽しみもあり、はまる人も多くいます。

ドライタイプは『自家製タイプよりも簡単』にパン作りができ、天然酵母ならではの香りや味わいのパンが焼けると人気。商品によって違った風味があり、種起こしが必要なものやそのまま使えるものなど使い方もいろいろです。

自分の好みや使い方に合うものを選んで、風味豊かな天然酵母のパンを味わってください。

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